フルハーネス型安全帯の呼び名は墜落制止用器具へ!【法改正の要点まとめ】

作業現場でよく使われる安全帯(ハーネス)について驚きなのが、日本で墜落(ついらく)や転落による事故は年間約2万件もあります。(厚生労働省発表「平成29年労働災害統計」データより)
これは1日に約55人の作業員が墜落や転落によりケガをしているということです。


こうした理由から国が安全帯の性能をみなおすための法改正をおこなうことになり、
2019年2月1日から労働安全衛生法施行令が施行されました。

今回の法改正で、長い間作業現場で呼ばれてきた「安全帯」の正式名称が「墜落制止用器具」へ変わりました。

呼び名が変わるだけでなく、他にもいろいろなことが変わったため、それらをまとめました。
今一度、作業現場でハーネスを使っている方は確認してみてください。


このページの目次
  1. 安全帯の呼び名や使える器具が変更に
  2. 使える期間と販売時期
  3. フルハーネス型を選ぶポイント
  4. 「安全衛生特別教育」を受けることが必要
  5. ハーネスに関する補助金・助成金について
  6. 安心な墜落制止用器具メーカー

安全帯の呼び名や使える器具が変更に

「安全帯」は「墜落制止用器具」へ名前が変わりました。

呼び方が変わるだけでなく、今まで安全帯に含まれていた「胴ベルト型(U字つり)」は、単独では使えなくなっています。

U字つりタイプの胴ベルトは「墜落制止用器具」ではなく、「ワークポジショニング用器具」扱いになり、「胴ベルト型(U字つり)」を使うときは、「フルハーネス型」と一緒に使うことが必要です。

胴ベルトU字つりは墜落製紙用器具として使えなくなるの説明図

スタッフ

こうした理由から、ほとんどの現場で使えるフルハーネス型を購入する人が増えています!


使える期間と販売時期

安全帯の使用期限など、ポイントになる日付は次の3つです。


①今もっている安全帯をつかえる(猶予)期間
2022年1月1日までは、今まで使用できていた安全帯を使えました。

②新しい墜落制止用器具の発売日
2019年2月1日から、新しい墜落制止用器具が販売されています。

③各メーカーが安全帯を販売できる期間
2022年1月1日まで、メーカーは今までの安全帯を販売できました。



スタッフ

2019年2月1日~2022年1月1日は両方(安全帯と墜落制止用器具)が販売されています。新規格かどうかを確認することがとても大事です!


フルハーネス型を選ぶポイント

ポイント1:作業現場の高さ

「高いところの作業はフルハーネス型が原則」

高さ6.75m以上(建設業は5m以上)では「フルハーネス型」が義務化されていますが、
高さ6.75m以下(建設業は5m以下)では「胴ベルト型(一本つり)」も使えるようです。

作業現場の高さによるフルハーネス等の使用範囲を示す図
高所作業にフルハーネスは必須

ポイント2:重量

「◯◯kg用は、自分の体重+すべての装備品の重さ以上」

墜落制止用器具は、「身につけるひとの体重」と「装備品」を合計した重量に耐えるものでないといけません。

100キロ用が最適な人の場合の説明図

例えば、体重85kgの人が85kg用のフルハーネスを使用すると
フルハーネス分の重さだけ重量オーバーしてしまうので85kg用は使えません。

ポイント3:二種類あるショックアブソーバのえらび方

ショックアブソーバとは、落下による衝撃時に特殊ベルトが引き裂かれることで落下の衝撃をやわらげる器具。
普及している多くは第一種ショックアブソーバですが、ランヤードを取付けるフックの位置によって、どちらを選ぶべきかが変わります。

「第一種は、腰より高い位置にしかかけられません」

「第二種は、腰より低い位置にもかけられます」

ショックアブソーバー第1種、2種の説明図

腰より低いところにかけて落下した場合に落下距離が延びるため、第二種ショックアブソーバは長い落下距離に対応しています。


スタッフ

短い落下距離で止まるほうが身体への負担も少ないので、正しい種類のショックアブソーバを選びましょう!


「安全衛生特別教育」を受けることが必要

フルハーネスをつけて作業するほとんどの場合、「特別教育」(合計6時間)が必要になります。

ただし、次に当てはまるひとは受講科目を少なくし、時間を短くできます。

  1. フルハーネス型をつかう作業を6ヶ月以上した経験があるひと(合計1.5時間)
  2. 高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが難しいところで胴ベルト型をつかう作業に6ヶ月以上した経験があるひと(合計5時間)
  3. ロープ高所作業特別教育受講者、または足場の組立て等特別教育受講者(合計5時間)

スタッフ

特別教育は、【建設業労働災害防止協会(建災防)】などで受けることができます。


補助金・助成金について

フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育に助成金がでます。

▼ 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース) の助成対象に、
「フルハーネス型墜落制止用器具を用いた業務に関する特別教育」が追加されました。

▼ 特別教育を受けた日により、助成金をもらうための支給申請書の提出期限が違ってきます。

  1. 2018 年 6 月 19 日~2019 年 1 月 31 日の実習については、2019 年 3 月 31 日まで
  2. 2019 年 2 月 1 日以降の実習については、実習を終えた翌日から原則 2 ヶ月以内。
    ※こちらは申請書の他に「計画書」を実習日の 3 ヶ月前~1 週間前に提出が必要です。

詳しい手続きについては、最寄りの都道府県労働局またはハローワークが問い合わせ窓口になっています。

詳しく知りたい方は 厚労省ホームページ「建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)」をご覧ください。

また、安全帯から「墜落制止用器具」へ買い換える中小企業を対象に国から補助金が出る支援もあります。
詳しくは「既存不適合機械等更新支援補助金」をご確認ください。

安心安全な墜落制止用器具メーカー

【藤井電工】 ツヨロン

髙い国内シェアをほこり、1952年から販売している「TSUYORON」シリーズで有名です。
自社講習会も200回以上開催しており、「Safety is Love(安全は愛)」がモットーのメーカーです。

【藤井電工】 ツヨロン

【サンコー】 タイタン

国内シェアではツヨロンに次ぐ二番手のタイタン。
消臭技術や形状保持をつかった、魅力あふれる高性能シリーズを数多く展開しています。

サンコー「タイタン」フルハーネス
【サンコー】 タイタン

【スリーエム ジャパン】 3M™ DBI-サラ™ エグゾフィット™ ハーネス型安全帯

スリーエム社は、墜落防止システムの世界的リーディングカンパニーで安全衛生に関する多くの製品&サービスを世界規模で提供中です。
1940年から墜落防止用製品を扱い、2017年から日本国内でもフルハーネスの提供を開始しました。

スリーエム ジャパン 3M™ DBI-サラ™ エグゾフィット™ ハーネス型安全帯
【スリーエム ジャパン】 3M™ DBI-サラ™ エグゾフィット™ ハーネス型安全帯


ここで紹介したメーカーは、長年の実績があるところばかりです。
身の安全を守るためにも、安心できるメーカーの商品を購入しましょう。

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おわりに

今回の改正ポイントは大きくわけて3つです。

  1. 安全帯から「墜落制止用器具」へ呼び名が変わる
  2. 「フルハーネス型」をつかうことが原則になる
  3. 「安全衛生特別教育」が必要となる

今回の法改正は、高所ではたらくひとが、安心して安全に作業するためにあります。
もっと詳しく法改正を確認したいひとは、こちらの【厚労省の資料】をご確認ください。


※この記事は2019年2月1日時点での情報を基に書かれております。


この記事を監修してくれたユニフォーム博士

岩田百志 岩田 百志(いわた もとし)
ユニフォームを販売して20年。
豊富な商品知識から、商品の特徴(素材・デザイン・機能面)を瞬時に判断し、お客様に最適なユニフォームを提供するユニフォームコンシェルジュ。現在では、後身の指導にアドバイザリーとしても尽力。
経験から得たユニフォームの基礎知識や販売のノウハウに至るまで、ユニフォームの魅力を日々伝えている。


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